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意外と知られていないが、四国山地は千数百メートル級の険しい山々が並び、
その荘厳さ、そして神々しさから、古来より山岳修行が盛んだったと言う。
中でも石鎚山は、日本七霊山のひとつとされる西日本最高峰の山。
右手に広がる瀬戸内海を眺めながら進むと、やがて宇和海の入り口に。
そこは町中をゆるやかに流れる肱川が優美な“伊予の小京都”。
大洲の美しい町並みを散策し、八幡浜ちゃんぽんで腹ごしらえしたら、
宇和海に別れを告げ、森の中へ。この旅の目的は、
清涼な森林の空気に癒されることだ。
『虹の森公園』で清流・四万十川がもたらす自然の恩恵にあずかりたい。
『森の国ホテル』では滑床渓谷がつくり出す霊妙な空気に身を任せたい。
そう、ここにあるのは“森時間”。
のんびり、ただのんびりと過ごして
心も身体も洗われるような感覚を楽しもう。


大洲ICから国道56号線を南下。肱川(ひじかわ)橋を渡ると左手に、古き良きニッポンを
思い起こさせる町並みが現れる。『おはなはん通り』と『明治の家並み』だ。
昭和41年のNHK朝の連続テレビ小説「おはなはん」のロケ地となった
『おはなはん通り』は、肱川にほど近い一角に、
江戸〜明治時代の面影を鮮やかに残している。
商家と武家屋敷の境界となっている『明治の家並み』は、その両者で好対照。
腰板張りの武家屋敷やなまこ壁の土蔵が一望でき、
通りのいたるところで“小京都”の風情に感じられる。
昔ながらの町並みにノスタルジーを感じたら、
お次は明治時代に建てられた数寄屋造りの『臥龍山荘(がりゅうさんそう)』へ。
肱川の絶景ポイントと言われる臥龍淵を望む地に建てられた山荘で、
3000坪の敷地内には不老庵、臥龍院、知止庵(ちしあん)などの名建築。
東南にある梁瀬の山々と肱川・如法寺河原の自然をとり入れた
借景庭園も素晴らしく、自然と創作との優雅な調和をみせてくれる。
肱川からの風は心地良く、こんなところで一日中昼寝でもしていられたら…
なんて、もっと酔いしれていたいけれど、同時にちょっとお腹も空いたし。
せっかく四国の西部まで来たんだから、もう少し行けば八幡浜。
ご当地の名物・ちゃんぽんは食べておかなくちゃ!
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大洲市から西へ、車で30分ほど行くと八幡浜市。
ここは、地域をあげて盛り上げているちゃんぽんの街。
「八幡浜ちゃんぽんバイブル」なんてガイドブックも出ていることからも、
その力の入れようがよく分かる。にぎわいの中心地・銀座商店街を練り歩くと、
ひときわ歴史を感じさせる食堂を発見。『ロンドン』だ。
ここは、50年以上も続く食堂で、八幡浜にちゃんぽんの文化を根付かせた、
老舗中の老舗というお店。入店して注文するのは、もちろん「チャンポン」だ。
鳥ガラと野菜のみでダシを取ったアッサリとしたスープに太い麺、そして具沢山。
肉・野菜がたっぷり入ったちゃんぽんに、お腹は大満足!
お腹の減りを満たしたら、午後のゆったりしたひと時を…というわけで、
思い当たる店に一本、電話を入れてみる。その店『しんめい茶屋』は完全予約制。
空き室があれば当日でも案内してもらえるのだけれど…よかった、空いてた。
こちらは本業が造園業ということで、部屋から眺める日本庭園が抜群に美しい。
大きな池をぐるりと囲む庭石やひっそりと佇む苔、茂る木々…。
45年という時が造りだした芸術作品をゆっくり鑑賞したり。
四季折々に彩りを変えた趣を楽しめるというから、また違う季節にも来てみたいな。
空き部屋があれば、一杯のコーヒーで静かに時を過ごすことができる。
なんて贅沢な時間。ただひたすら、ぼーっとしていると、
本当に時が経つのを忘れてしまいそうな錯覚に陥ってしまった。

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四国の西端、国道441号線を南下する道すがらには、
深い森だからこそ聞こえ得る、枝がざわつく音や鳥の鳴き声に癒される。
稲生川に沿っていくつかの集落を繋ぎながら南下する道は、車幅も広めの快走路。
爽快に走り抜けると現れるのが道の駅『虹の森公園』だ。
ここは、淡水魚水族館「おさかな館」や「ガラス工房」、
物産館やレストランなどを併設した大きな施設。
中でも楽しみにしていたのは淡水魚の水族館『おさかな館』。
日本最後の清流と言われる四万十川流域に生息する魚が多数、展示されている。
今では希少となった天然のウナギやアユをはじめ、ゴリやツガニ、テナガエビなどの
生態をじっくり観察できる。また、熱帯雨林の生物コーナーでは、
アマゾンの巨魚をトンネル水槽で観察できるようになっていたり、
世界の変わったカエルの仲間の展示まで! また、優雅に泳ぐ魚たちの姿に
うっとりするだけでなく、ペンギンやカワウソの食事の様子が見られるなんて、
こんな森の中では貴重な体験!!
さらに魅力的なのは、トマトのもぎとり体験ができる「森の国ファーム」。
りんご狩りやみかん狩りなどは経験があっても、トマト狩りなんてめずらしい。
ところで、もぎたてのトマトって、どんな味がするんだろう?
ワクワクしながら体験してみると…
さすが四万十川の流域で熟したトマト!
かじった瞬間に甘酸っぱい果汁がジュワ~っとあふれて、
“完熟トマトって、果実はこんなに甘くて瑞々しくなるんだな”と実感。
この他、リサイクルガラスによる工芸品作りも体験できる。
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この旅の最大の目的は、森の中でのんびりすること。
樹木が発散する「フィトンチッド」には、消臭や防菌・防カビ効果の他、
自然と気分が落ち着くようなリラックス&リフレッシュ効果があるんだとか。
その恩恵を受けるべく、清流・四万十川の支流・目黒川の最上流
12kmに及ぶ「滑床渓谷」へ。
まずは荷物と、旅の疲れを降ろすべく、『森の国ホテル』にチェックイン。
赤い屋根がヨーロピアンな雰囲気を醸す山間リゾートで、ホテル内に入るとラウンジで
マントルピースとご対面。見るからに暖かそうな雰囲気に、ふっと心が落ち着く感じだ。
このままゆらめく炎を見ているのもいいけれど、ここへ来たからにはやっぱり、
深い渓谷の静けさに包まれた天然温泉を使った露天風呂に入らなくては。
露天風呂に浸かり、森の静けさと渓谷の水の流れる音だけが聞こえる
夢のような贅沢な時間に、心も身体もほっこりと和らいでいく。
施設内のレストランでは、地元で獲れた山・川の食材はもちろん、
宇和島産の新鮮な魚介類を使ったシェフ自慢の和洋折衷オリジナルコースを、
渓谷の暗闇にライトアップされたつり橋を眺めながら堪能できる。
部屋毎に異なるファブリックと高い天井とシックなウッド仕様でまとめられた室内は、
限りなくハイセンス。まるで森の中で眠るような感覚にとらわれながら、
ゆっくりおやすみなさい……。
翌朝からは、旅の締めくくりとして、楽しみにしていたネイチャーガイドとの滑床渓谷巡り。
当地を知り尽くしたスタッフさんと、約3時間の渓谷散策だ。
独特の“滑”と呼ばれる花崗岩(かこうがん)の沢が連続するポイントには、
日本の滝百選にも選ばれている「雪輪の滝」がある。
長さ80m、幅20mという巨大な一枚岩の上を、清流が淡雪のような
紋様を描きながら滑り落ちる様は、白い淡雪のよう。
古、歌人が茶会を開いたという「千畳敷」は特に水面に映る様が美しい。
森が作り出す霊妙な空気の中で目を閉じると、
森の空気で身体の内側から浄化されていくような不思議な感覚にとらわれる。
心身のリセット、これにて完了!!


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